2017年6月25日日曜日

まだ使いきっていないと思いたい


 人生初になると思うが、ドブ漬けコーティング用の「ウレタンクリアー」を使いきった。



 最後、ドブ漬けというより底にたまっているウレタンを傾けて入り口の方にトロッと流れ出しそうになる状態にしておいて浮子を突っ込んでクルクルと回してコーティングしていた。ここまでくれば残りは新しいウレタンに混ぜてしまえば良い。



 いつも、ルアーとか作りたくなって買ってきて、ひとしきり作って飽きると放置しておいて、次にルアー作りたくなったときに出してくると、中で固まっていたりゲル状になっていたり、という惨状はルアー作りやったことある人には「あるある」ネタだと思う。
 それを使いきったのは、ここしばらく精力的に「ヘラ浮子」を作りまくっていたので使いきったというのが直接の原因なのだが、ヘラ浮子作り始める以前に買って、ルアーのコーティングに使ってしばらく放置していたウレタンクリアーがぜんぜん劣化していなかった理由を小ネタ的にみなさんにお伝えしておきたい。
 まあ、どっかで過去にも書いたけど、「冷凍庫」に入れておくと空気や水蒸気と反応したり2液が化学反応したりするタイプの塗料、接着剤は「低温では化学反応は進行が遅くなる」という一般的な法則どおりで、常温で放置しておいた時と比べて飛躍的に使用できる状態が永く保てる。


 写真が我が家の冷凍庫のドアポケットだけど、ロッド補修用なので使いきることが少ないけど、放置しておくと2液混ぜてもいないのにやっぱりゲル状になっていたりするエポキシコーティング材、おそらく使うときにはカラカラに乾燥していて買い直すのはどなたも経験しているだろうアロンアルファは水と反応するシアノアクリレート系、ネジのゆるみ止めのロックタイトも同系統。意外なところでペイントマーカーのペン先がガチガチに固まって使えなくなるのも冷凍庫に入れておくとかなり防げる。ウェーダーの穴をふさぐアクアシールも一度でも封を開けてしまうと冷凍しておかないと使うときに固まってる。
 ちょっと、別の話のようで、でもたぶん「酸化」という化学反応が遅くなるという原理は一緒だと思うのけど、右端に入っているインド土産のカレー粉。何年も前のものだけどいまだに辛いし、香りも結構する。
 冷凍庫は偉大だ。家庭用冷蔵庫は昔「三種の神機」の一つに数えられていたがむべなるかな。

なかなか使いきれないもの、となると一般的にはボールペンのインクとか100円ライターのガスとかもあるかもだけど、我が家で使い切れそうにないのは50LBのボビン巻きのナイロンライン「クインター」。同じボビン巻きでも巻き換えの多いシーバス用のメインラインのダイワ「ジャストロン」8LBは毎シーズン使いきるぐらいに使うのだが、50LBはショックリーダーとして買ったのだけど、50LBをショックリーダーにするシイラ釣りとかなかなか行かなくなったのでほとんど減っていかない。まあ、使うときでも一ヒロずつぐらいしか使わないリーダーなので一生分あるだろう。
 その並びで、ハリスなんて1回に使う長さは短いので、すぐにはなくならないつもりでいたら、へら用のハリスは意外に消耗が激しくバリバスの0.5号50mは使いきって、ダイワの0.4号も底が見えている。
 ヘラ釣りではハリスの長さを変えて反応をみていく場面が多いのに加え、ちょっと絡んだりして縮れたりヨレたりしたハリスも交換していくので思ったより使う量が多い。
 へら釣りの道具は何でも高いけど、ハリスも高くて高級品だと50m2千円したりする。たしかに今時のナイロンハリスの性能には感心するばかりだけど、正直、直線強度、結束強度ともに太くしてしまえばある程度稼げるので、私はそんなに高性能なラインを必要としていない。安定してそこそこの性能なら問題ないので、50m千円ぐらいか75m千5百円ぐらいの「普通」ので良いのを探したい。とりあえず今使ってるバリバスの「スーパーへらハリス」は合格点。ダイワの「スペクトロンへらXP」はちょっと高性能すぎて値段も高い。とりあえずバリバスかなという感じ。

 とまあ、良い感じにヘラ釣りに熱中しているんだけど問題発生。

 腰がッ!

 腹筋の方法を変えてからこっち腰の調子は良く、これは腰痛とはおさらばできたかと思っていたら、台所でしゃがんでペットボトルの包装を剥がしたり分別作業をしていたら、いきなりお尻に衝撃が走った。
 悶絶して、前のめりに倒れたのを横向きに転がるのも必死。10分ぐらいしてゆっくりと手を使って起きあがると過去のぎっくり腰より下の方のお尻のあたりに重い痛みがこもっている感じ。歩けないほどではないけどこれは2週間は完治にかかりそう。
 昨日は午後早めに釣りを切り上げたけど、実は2、3日前から脇腹が原因不明で痛くて、今思うと体に疲れが貯まっていたのかもしれない。
 ここしばらく雨の中でも渋い釣果でも根性出して粘れていて、体力はまだ回復途中だけど根性はけっこう戻ってきたと思っていたんだけど、体の方は思ったよりも回復していなかったのかもしれない。

 もう体の方は使いきってしまってたりしたらどうしよう?と不安になってくるけど、まあそれならそうでも仕方ないか。とりあえず来週は梅雨空のようだし安静に寝ておきます。  

2017年6月18日日曜日

鉛よさらば


 鉛という金属は何かと便利である。ある程度柔らかく融点が低いので、電化製品の基盤とか溶接に使うハンダに使われたり、昔は割れにくい柔らかさから水道管にも使われていた。
 釣りの世界ではその「重金属」とも分類される比重の大きさ、つまり「重い」という性質から仕掛けを沈めるオモリとして好適で、オモリという意味で「ナマリ」と使うぐらいに利用されてきた。融点が低く加工が楽で様々な形に成型可能、柔らかく板オモリのような使い方もできる。
 そのうえ、鉛は貴金属ではなく割とありふれた金属で値段も安いので、釣りに限らず様々な分野で利用されているところ。

 ところが、この鉛には毒性がある。水道管に使われていたぐらいで、表面がすぐ黒ずんで酸化皮膜に覆われて水に対しては安定していて普通健康被害が出るほど溶け出したりしない。
 ただ、鉛には毒性とともに蓄積性もあるようで、普段の食事から摂取される量の鉛ぐらいなら尿とかで排出されるようだけど、削れた砕片などが口から取り込まれるとか、排出が追いつかない量になると体内に蓄積され中毒を起こし様々な健康障害を起こすようだ。
 ということで現在では、水道管も塩ビ管に置換されていっている。

 釣りの世界で、鉛のオモリを使うことが問題視されるようになってきたのはここ、10年来ぐらいであろうか。
 その論拠は主に、散弾銃の弾の鉛と併せて、池とかにばらまかれた鉛玉を、水鳥が餌をすりつぶすために砂嚢に貯める砂利などと一緒に飲み込んでしまい鉛中毒を起こして衰弱し死んでしまう、ということを防ごうという趣旨からのものだと理解していた。

 中には、海の中に鉛のオモリを残してくると、その周りに貝も海藻もいっさい生物が付かなくなる。海で鉛のオモリを使ってはいけない、と主張する意見もあり。鉛ごときで付着生物が防止できるのなら船低塗料に毒性の強い有機スズとか使う必要なんてなかったわけで、なにを言ってるんだ?という気がする眉唾な話だと思う。鉛はダイオキシンやらPCBとは違ってもともと天然に存在し、まあぶっちゃけ海水中にもそれなりに溶けている。

 ということで、鳥の口に入りそうなサイズのオモリを鉛から、スズだのタングステンだの鉄だののものに置き換えていけばいいやと思っていた。


 なので、ヘラ釣りを始めるにあたって、オモリは鉛の板オモリを使うことが常識となっていたが、スズ製のオモリで何とかならないかと考えて、最初は市販のスズ製ガンダマを使おうと考えていたのだけど、微調整がきかないので困ってしまい何かないかと調べていたら、「鉛フリー」のスズ主体のハンダが売っていることがわかり、これの直径1ミリのと0.6ミリのを買って、仕掛け用パイプに巻き付けることで微調整も可能な「鉛非使用」のヘラ用のオモリとすることができた。上の写真のような感じである。
 調整幅も自由自在でちぎったり追加したりも爪でできるぐらいで簡単。仕掛けが絡んだり回転したりもなく不具合なく使えている。
 機能性やらをいい始めたら、もっと高性能なオモリ周りの工夫もあるかもだが、環境影響をふまえた評価をすれば、現時点で最も進歩した最先端のヘラ釣り用オモリになっているという密かな自信がある。
 スズは鉛より比重が小さいので沈降速度が遅くなる可能性はあるが「ゆるふわヘラ道」ではそんな細かいことは気にしないし、気にする人はヘラ用のタングステンシンカーは市販されているので、それと組み合わせて使ってみてはどうだろうか。高比重のタングステンシンカーでストンと沈めつつ重さの微調整はスズハンダでってやれば完璧かと。

 ついでに、ハゼ用の中通しシンカーとかもスズハンダをパイプに巻いて作ってみたりと、スズハンダを使ったオモリのバリエーションを考えていて、ふと「なんで「鉛フリー」を謳うハンダなんか売ってるんだろう?」と疑問が浮かんだ、鉛主体のハンダを使っていると、鉛の削りくずとかができて、それを吸い込んだりして人間に健康被害が生じるからかな?とかボヤッと思っていたが、今時そのぐらいはネットでサクサクッと調べられるので調べてみた。

 欧州基準では、既にハンダは「鉛不使用」が原則になっているらしい。
 電化製品の基盤やらに含まれる鉛ハンダは最終的には埋め立て処分される。それで昔は問題がなかったのだが、近年欧州で問題になっている酸性雨が最終処分場の埋め立てられた鉛を溶かし、地下水や河川を鉛で汚染するという状況が生じており、生態系への影響やひいては人間への健康被害を防ぐため喫緊の課題として「鉛不使用」が進められていて、欧州へ家電製品とか輸出するためには、鉛不使用でないといけないらしい。
 というわけで、日本でも普通に「鉛フリー」表示のハンダが売っている。
 日本ではまだ酸性雨の被害は顕著になっていないので、問題としては表に出てきていないけど、地球規模で起こっている環境問題なので明日は我が身というつもりでいた方がいいように思う。

 オモリを始め、鉛を使った釣り具は可能な限り、スズやタングステン、鉄などを使ったものに置き換えていくべき時期にきたのかもしれない。狩猟の世界では既に北海道で鉛の散弾が禁止となっている。釣り人も続くべきだろう。

 アメリカの通販では鉄製シンカーとか豊富な種類がそろっていて、かの国のこういうところでは真面目な姿勢がうかがえる。
 日本でもバス用のシンカーなら高比重でストンと沈められる高性能なタングステンシンカーが種類豊富に出ている。
 非鉛素材のオモリのメーカーとしては「フジワラ」というところが、鉄製の海用の大型オモリから、スズ製のガンダマやワカサギシンカーとかも作っていて、是非ガンダマとかはここのスズガンダマを買ってあげて欲しい。テナガ釣りとかに私も愛用している。

 という感じで、ナマリ不使用の動きはすでに釣り具業界でも始まっているので、利用できるところから利用していってはどうだろうか?とすべての釣り人に押しつけてみたい。

 とりあえず私も各種オモリに加え自作のルアーのオモリはスズハンダ使うことにして、新作の「お手元ルアー改環境対応型」とかも作ってみている。

 魚釣りなんて、魚がいなければできない遊びだから、しょうもない目先の釣果のことばかりを考えていないで、たまには釣り場を含めた環境のことも考えるべきだろう。


 環境に配慮した釣り具で、私が推薦しまくっていた「生分解性ショックリーダー」は、全く流行らなかった。今はどこからも出ていない。
 多少太くて伸びるぐらいの性能の悪さぐらい、我慢して使えよ、そこをカバーして釣るのが、上手いつり人ってもんだろうがよ!と思うのだが、世の多くの釣り人はちょっとでも細くて強くとか、低伸度で感度良くとか、正直ショックリーダーにはあんまり必要ないことにこだわっていて、本当に大事な釣り場のためになる性能を評価しなかった。

 とても残念なことだ。 

2017年6月10日土曜日

パンツじゃないから恥ずかしくないもん!

 あまり知られていないことかもしれないが、私ことナマジは着古した服が好きである。知ってるって?

 ポケットの位置とか変わると使い心地が変わるというか、不安になったりするこの気持ちは、誰か共感してくれる人がいるのだろうか。ひょっとして「ライナスの毛布」みたいな心理学的な用語があったりして。

 ここ数年お気に入りでいつも履いていたズボンが、夏用、冬用共に2交代制なのだが、片方が限界を迎えつつある。
 最近はズボンっていわないのか。でも「パンツ」って言い方は昔は発音が尻上がりでパンツ↑というしゃらくさい感じだったのが、いつの間にやら下着のパンツと区別つかないようなパンツ↓という呼び方になってきているような気がする。ズボン・パンツ問題については椎名誠先生ほかいろんなところでオッサン共が問題提起しているのでここではあまり深くはつっこまなないでおく。まあ、どうでもいいんだけど。
 で、ズボンなんだが、いちいちベルト締めるのがめんどくさくて、ベルトのついているイージーパンツというのかカーゴパンツというのかその手のを履いているのだが、夏用の薄手のは、先日いつも携帯を入れる左ポケットが大破したのを繕って、まだ履けるだろうと思っていたのだが、一カ所破れ始める頃にはすでに生地があちこち限界を迎えているようで、ポケットの端だのケツだのにあちこち穴があき始めた。尻が割れて「いきなり尻見せ」状態になったとしても、まあ若い女性でもないので実害は少ないけど、財布とか家の鍵とか落とすと面倒くさい。
 冬用も手を突っ込む右ポケットのあたりがボロボロである。

 そろそろ買い換えるかと思うのだが、買うとなるといろいろ注文の多いめんどくさい男で、最近ズボンに求める条件はチャックの付いたポケットがあることが第一で、夏用なら即乾性素材の涼やかなのが、冬用なら丈夫な厚ぼったいのが欲しい。デザインにも明らかにダメなのと良いのがあるのだが、その辺の好みは言葉で説明できない感覚である。どうせいつもダサ臭い格好しているのに何でも良いやろと思うかもしれないけど、そうじゃないんだなぁ。
 チャックのついてないポケットに鍵を入れておくのが不安で嫌いだ。鍵落としたことなどないのに不安になるめんどくさい心配性。

 今時はネットショッピングで膨大な数の商品から買うものを選ぶことができるので、冬用についてはこの冬、ポケットが沢山ついているやつを、そのアカ抜けないデザインには目をつぶって我慢して、チャック付きのポケットが手を突っ込む前ポケットとは別にあるのを画像で確認して買ったのに、そのチャックは単なる飾りで、チャックおろしてもポケットになっていないという衝撃の代物であった。意味のないデザインした責任者でてこいと文句を言いたくなるが、ネットで安いのを買うから銭失いをするんだと反省。反省を噛みしめるためにも履くことにした。財布と鍵はボタンで留められる尻ポケットに入れる。

 夏用は、冬用の失敗を繰り返さないように、こういうときは手堅くモンベル行っとけばいいねン。と渋谷のモンベルショップに出かけた。
 東急ハンズの隣にあるのだが、このアタリの「表渋谷」は毎日祭りのような人手で、人混み嫌いな人間にとってはロールプレイングゲームの「毒の沼」のように歩いているだけでHPガリガリと削り取られていく気がするが、夏ズボンを買うというクエストのためにはいたしかたない。我慢して突撃した。

 流石はモンベル。わかってるという感じにズボンの前ポケットにチャックがついた即乾性のやつが売っていて、サイズがMの長さがS(ショート)というところにやや屈辱を感じたけど、無事お買い物終了。7千円ぐらいで価格も適正価格としかいいようのない安くも高くもない価格。これでしばらく夏物ズボンは買わなくてすみそうだ。

 貧乏ってほど金持ってないわけでもなくて、ズボンぐらい好きに買ってもいいんだけど、ズボンに限らず服って気にいったものをズーッと着続けていたいと思っていて、夏に釣り行くときの長袖Tシャツとかも、いい加減擦り切れてきた奴も脇が破れて繕った奴も、もう何年もその状態から着ている。
 着ると、それを着て良い釣りしたときの記憶がよみがえったりして、なかなか捨てて新しいのを買う踏ん切りがつかなかったりもする。買い物行くのめんどくさいし、ネットショッピングははずれもあるし。
 バンバン新しいものを買って経済回していかなければいけないのが現代人の努めなのかもしれないけど、まあ一人ぐらい変なのがいても大丈夫だろうと思う。

 昔々、あるところにお爺さんとお婆さんが住んでいました。そこに雀がやってきましたとさ。おしまい。

 「きたきり雀」のお話でした。

2017年6月3日土曜日

貧乏金なし

 あまり知られていないことかもしれないが、私ことナマジは安竿が好きである。知ってるって?


 まあ、そんな安竿大好きな私がヘラ釣りを始めるにあたってまず買った安竿が以前紹介したようにダイワの入門モデルのヘラ竿「陽舟」10尺で、快調な使い心地を楽しんでいるところだが、さすがに安い竿でしかも中古なので、ひょっとして耐久性とかに難があったりしないだろうかという不安はちょびっとある。
 安い割に軽くて使いやすいように感じていて、軽いということは、薄くてパワーやら耐久性に劣るのではないかという心配が無いわけではない。
 まあだとしても値段相応なわけで、すぐに折れるような不具合がなければ問題ないとは思うのだが、気になってちょっと使用感の報告とかネットに転がっていないかと検索かけてみたら、良い評価も悪い評価もあって、結局自分で使い込んで判断するしかないと思わされたところなんだけど、なかには初心者モデルを買うにあたってダイワかシマノか悩んでいる質問者に「陽舟とか言ってる奴はヘラ釣りなんて金のかかる釣りはやめておけ」とか書いている奴がいて非常に腹が立った。

 ヘラ釣り始めるにあたって、正直目標が自分でも明確ではなくて、まあとりあえず5匹10匹釣って楽しめるようになろう、ぐらいのゆるふわっとした目標で始めてみたところだけど、始めてみて自分の目標というか、戦うべき敵が明確に見えてきたように感じている。

 ヘラ釣りを妙に小難しい訳の分からん理屈で語って権威付けしようとしたり、高い道具じゃなければダメみたいなことを言って、さも自分が高尚な趣味を楽しんでいるかのように見せかけたり、全く鼻持ちならねえ野郎どもがウヨウヨいるのに反吐が出そうになる。
 そういう輩にネットの片隅から唾吐きかけて喧嘩売って、バカにしておちょくりまくったことを書くのが、そういうしょうもない輩どもに戦いを挑んで打ち負かして楽しく釣るのが、私のヘラ釣りの目標だ。

 もちろん、ヘラ釣りの技術を緻密に理論立てて真面目に求道的に研鑽している人たちもいるし、高い道具の「趣味の世界」だからこその贅を尽くした美しさや機能美に魅力を感じないわけでもないし、それらを楽しんでいる釣り人を悪く思っているわけでもない。
 そうじゃなくて、そういう楽しみじゃなくてちょっと休日釣り堀でヘラ釣りでもしてみようというような初心者やら休日釣り師を小馬鹿にする事によって、自分たちがさも上にいるかのように振る舞うバカどもにムカついているのである。他人を下に見たところでおまえの立っている位置は1ミリだって高くならないんだってわかってるか?

 「高い道具じゃなければダメ」というような奴にとっては、安い道具で快適に釣られてしまっては立つ瀬がないのだろう。どうせそんな連中は魚釣りにおいて唯一自慢できるのが道具の値段だけで、釣果も技術も凡百のヘボ釣り師の馬群に沈んでてなんの特徴もなく、たいして技術の習得に努力も払ってなくて、ゆえに他人の釣技の正当な評価もできず、他人が釣れるのはラッキーで自分が釣れないのは運が悪いぐらいに思っているから、いつまでたっても運など回ってこないことに気づいてもおらず、そういうことを背中で教えてくれるような師匠もいないんだろう。おかわいそうなこって。

 まあ、そういう輩は無視しておくのが精神衛生上も得策であり、相手にしていては自分も同じレベルになってしまうというのはわかっちゃいるのだが、でもまあ自分はお行儀良く賢い人間ってわけでもないしバカで結構、好きに書かせてもらう。
 サッカー元フランス代表のジダンがワールドカップで相手選手に頭突きかまして一発退場食らっていたけど、あのときは相手選手に母と姉を侮辱されたんだといわれている。フランス男児にとっては近しい女性を侮辱されたらブチ切れなければならないものなのだろうし、私にとっては安竿をバカにされたらやはりブチ切れなければならないというものである。愛の問題である。

 ヘラ釣り始めるときにもあんまり金はかけないでおこうと思っていたので、以前にも書いたように餌抜きでだいたい4万5千円ぐらいしかかかっていない。
 餌も、まあそんなに種類を増やさないようにしたりシラタキを鍋したときに確保したりで1日5百円前後かなという感触である。今時ゴカイ買ってもミミズ買ってもそのぐらいはするし、ことさらヘラ釣りが餌代がかかると思わない。
 べつにヘラ釣りするからって、ほかの釣りと違う特別な費用がかかる訳じゃあないと始めてみて実感している。浮子を自作しているのは大きいかもしれないので、貧乏人は浮子を作れと書いておこう。楽しいし。

 他の釣りと違う金がかかる要素をあえてあげるとすれば、竿掛け・万力の組み合わせと座るマットだろうか。
 正直なくても釣りできないことはない。でも短尺の竿はともかく長い竿には竿かけは無いとしんどいだろうし、短尺の竿でも竿を置いて餌付けするときの手返しとか考えると、無しというわけにはいかない気もしてきた。
 座るマットも長時間座る釣りなので、ないとお尻がいたいし、腰痛持ちには背もたれも欲しいところ。

 今使っている竿掛け・万力セットは「おり釣り具」というところが出しているセットもので7000円ぐらい。万力は木製、竿掛けは竹でできていてなかなかに趣があって良い。F師匠に薦められて買ったのだけど、同じような値段のもので竹製とかはあまり売ってなくて、金属とカーボン製のかなり安っぽいものになる。まあそれでも釣りにはなんの不便もないのだろうが、竹製の竿掛けはヘラ釣りの気分を盛り上げてくれるので気に入っている。
 でも、7000円のセットものなんていうのはヘラ釣りの世界では安物で、釣り具屋で黒檀とかで作られた万力を見ると平気で5万円とかしていてちびりそうになる。ヘラ釣りの道具は何でも高い。


 今使っている竿掛け・万力に全く不満はないのだが、竿かけて置いておくぐらい、ホムセンでクランプとか買ってきて細工すれば金なんてたいしてかからんだろうと思っってしまった。そういうやり方を示しておくのも「ゆるふわヘラ道」においては意味があるかなと、渋谷のハンズの金物コーナーでクランプ手にして実際に組み合わせてみたり「ここをこう締めて、こっちは木を持ってきて」とかいじり回していたら、結局竿掛け用の万力に求められる機能は、足下の木の棒に竿掛け全体を固定することと、木の棒と90度交差する形で竿掛けを角度を自由に調節できる形で固定すること、の2つだと理解した。その2つの固定をやってのけるにはクランプが2つあればできるということで、写真のような感じになった。これで竿掛けの万力として使えることは実際に竿掛け用の万力を触ったことある人なら理解してもらえるだろう。
 費用は1000円弱ぐらい。竿掛けは適当に余っているノベ竿をつかって、キャップのようにはめるY字とクランプに挟む木の棒を竿尻に上手く突っ込んで固定できるように削れば出来上がり。たいして手間もかからない。
 実釣でもどんな塩梅か使い心地を確かめてみたいところ。  

 座るマットについても、5000円ぐらいでそれほどお金がかかっているわけではなく、背もたれ付きのを買ったので腰が楽で良いといえば良いのだが、難をいうとデカいのである。マットの厚さと長時間の座り心地は関係深そうなので安易に安い薄っぺらいものに買い換えるわけにもいかなそうだが、もっと安くて腰の痛くならない空気で膨らませるタイプか折りたたみ式のものがないかと探していたら、プロックスから出ている「あぐら椅子」というのが、座面は低くて広くてヘラ釣りにも良さそうだけど、仕舞った時の体積は今使ってるマットの半分ぐらいで、かつ値段が1500円程度と安いのでものは試しと買ってみた。しばらく使ってみて、使用感など報告してみたい。

 とまあ、お金をあまり使わなくても楽しめるよといういうことは発信していきたい情報だが、ちょっとお金をかけたら楽しくなりそうというものもあったりして、買うべきか否か迷っている。
 水中映像の有用性を市販のDVDで感じたところだが、今時、個人でも水中撮影できるようなビデオ機材は手に入る。タブレット端末に接続してリアルタイムで水中の映像を見るような機材はそこそこお高いけど、小型のいわゆる「ウェアラブルカメラ(着るカメラ)」といわれるようなバンドで頭にくくりつけて撮影できるようなビデオ機器でマリンスポーツなどにも対応する専用防水ケースのついたモデルが5千円ぐらいの安価で売られている。
 スイッチを入れたままドボンと水中に放り込んで撮影するので「ドローン」ならぬ「ドボーン」とかいうらしい。
 水中で撮したい方向にどう固定するかとか検討するべき技術的な課題はあるけど、ルアーの釣りのような、どこで魚が食ってくるかわからない釣りとは違って、垂らしている餌のところで食ってくると分かっている釣りなら撮りようがある気がするし、リアルタイムではなくても後から釣れてなかった時間帯に魚が居なかったのか居ても食わなかったのかとか分かるだけでもかなり価値が高い映像だと思う。
 竿のグレードをあげるために使う金が5千円あるなら、こちらに使った方が釣りが楽しくなると思うのだがどうだろうか。ちょっとポチッと発注するべきか迷っている。

 釣りにおいて水中撮影を発展させていくと、その延長線上で水中映像をリアルタイムで見ながら釣るということも機材さえそろえればできるように思うけど、「ヘラ釣りは浮子で水中の状況を把握しながら釣るもの」という固定観念があるのか、いまいちそれは面白くなさそうに感じてしまう。まあ他の釣りでは偏光グラス使っての「見釣り」なんていうのを当たり前にやっていて、その楽しさも知っているつもりなので昭和の男のくだらないこだわりなのかもしれないが、ヘラ釣りでそれは何か違う気がする。

 まあ、情報機器の発達はすごい勢いなので、そういうのに触れて育った世代は抵抗無く自然にそういった機器を使いこなした釣りをするようになっていくだろうと思う。
 そうなった頃に若い衆にそういう釣りを教えてもらうのもまた一興かもしれない。
 ドローンも小型高性能化しているし一般化すれば、釣りキチ三平でラジコンでデカバルト狙ったような釣りのさらなる発展系がありえるだろうし、水中カメラも小型化や低価格化はもとより、先端技術のイルカ型の音響カメラなんかだと濁った水の中でも魚の映像が手に入ったりする。
 とりあえず貧乏人にも手が届くような、広く一般に普及した機器ぐらいは使いこなせるようになっておいて損はないように思う。

 でもまあ釣りなんて、お金がなくても拾ってきたラインとハリを竹藪から引っこ抜いてきた竹にくくりつけてもできる。お金をかけようと思えばいくらでもかけられるけど、なきゃないなりに手持ちの札で勝負するしかないのである。釣りぐらい金が無くても十分楽しめるということは示して情報発信していきたいと思っている。

2017年5月27日土曜日

こんな安竿を買った

 ちょっとまえ4月23日に、当ブログで安竿への愛を語ったら、久しぶりに物欲が湧いてしまって、安竿ポチポチと買ってしまった。
 まあ、安いので送料含めて1本2000円しないわけで、たいした買い物ではないのだが。でもちょっとウキウキしちゃったりして。



 まあなんだ、正しい安竿というのは、釣り具量販店の入り口のワゴンのあたりか、入り口入ってすぐ右あたりの壁に掛かっているものだと思うが、今回買った2本とも壁掛け対応のパッケージになっている。右の竿などわざわざ塩ビのケースの蓋に吊すためのナイロンラインの吊り手を付けている。



  1本は、タカミヤの「白滝」シリーズ第五世代の「白滝V小継渓流210」で、PENNスピンフィッシャーは「V」を買っていない私だが、白滝は「V」買ってしまった。1480円だしな。
 写真下の「Ⅳ」とは今一違いが分からないが、まあ気にしなくて良いだろう。素材は安心の100%グラス。7尺のヘラ竿として使用する予定。「V210」は「Ⅳ240」ほど太竿感がないので小物釣りにも使えるかも。
  
 「V」で特記すべきところは、「リリアンが接着剤でガッチリ固めてある」という所だろうか?「Ⅳ」の端っこだけ付けた接着剤では私と同様にリリアン抜けるトラブルが結構あったのだろう。
 そのあたり、羮に懲りて膾を吹くなぐらいの勢いでリリアンガチに固めてあります。コレは抜けないと思うけどここまでせんでも大丈夫だろうとは思う。
そして、2本目が「NEW WAVE minipack 20号210」だ!
 そう、長年愛用していた300円で買った安物パックロッドの、売ってた時代が違うのか色違いがネットオークションに出てたので落札。
 私しか入札しないだろうとタカをくくっていたら3人で競ったけど、最終的に千円ちょいでハンマープライス。

 そして、長年謎だったこの竿のメーカーが「スズミ釣具」と判明。そうか、J屋傘下のスズミか。釣り具量販店最大手のJ屋の入り口近くに吊されていたのなら、由緒正しい安竿のエリートといって良いだろう。
 スズミの竿は3.3mのハゼ釣り用の長い方の竿がスズミで、特に可もなく不可もない安竿として愛用中だが、超お気に入りの「NEW WAVE minipack」がスズミと知ってスズミの評価が私の中でグッと上がった。

 しかしながら、ケンクラフトとかでもそうだったけど、J屋関係の道具のデザインというか色のセンスの致命的な、何でこんな色になってるねン感はちょっと使うのをためらわせるものがある。
 「B級ルアー列伝2」でケンクラフトマニアの人が出てくるんだけど、そこでもカラーセンスのなさについてはネタにされていて、Dab氏にケンクラフトのウェアーを普段着ているのかと聞かれたマニア氏は「釣りに行くときはもちろん着ていきますよ、釣り場で脱ぎますが」とか言っててウケた。ケンクラフト製品を愛するマニア氏でも擁護しきれないようだ。

 写真見てもらえば分かるけど、上の今まで使っていた古い方の地味な爺臭さもたいがいだけど、新しい方の、水色?のブランクスにグリップがなんか凝った感じにグレーと濃いピンクのツートンって、「どういう方向性で頑張っちゃったんだろうね~?」と頭を抱えざるを得ない配色だ。
 まあ、でも買っちまったし使うしかないんだろうなと思って、竿を伸ばしてみるとなんか妙にパワフルで、愛用している竿と感じが違う。リールシートやらガイドやらも同じで、穂先がグラスソリッドで他のブランクスがグラスコンポジットで一緒だし色違いのハズなのだが何でだろうと、しげしげと見ていたら、どうもオモリ負荷が違うようだ、古い方は「10号210」で新しい方は「20号210」となっている。あちゃーやってもうた。現物見ないで買うネットショッピングではありがちだが、まあ仕方ない。シーバス釣るには穂先のパワーとか強すぎだけど、根魚とか釣るには良い感じだろう。しばし、蔵で眠ってもらい出番を待ってもらうこととなる。

 ということで、引き続きタカミヤ製白滝の第3世代「白滝Ⅲ」とスズミ製「NEW WAVE minipack 10号210」がどっかに売ってたり、持ってて譲っても良いよという情報あったりすればタレコミよろしくお願いします。

2017年5月20日土曜日

苦杯

 炎天下10時間釣ってヘラ2匹という大苦戦のあと、ゴールデンボーイの村田諒太選手がスカッと世界チャンピオンになってくれることを期待してテレビ観戦。

 ミドル級って180ぐらいの大男がボコスカ打ち合う激戦区で、もう村田選手で獲れやんかったらオレの生きてるうちに日本にはベルトは来ないってぐらいの価値あるベルトで今夜はそれが拝めるかと不安と期待の入り交じった気持ちで観戦していた。
 出だし、手数が少ないので不安になったけど、作戦だったようで2ラウンド目以降得意の右がボコボコ当たりだしてダウンも奪って、相手はやたら打たれ強いようで最後まで手は出してきてたけど、明らかにヨレヨレでクリンチ多かったし最後は村田も安全運転で仕留めには行かなかったように見えた。

 まあ、「ホームタウンディシジョン」って言葉があるぐらいで、開催地国側に有利な判定にはなっても逆はあんまりないので、これは日本で2人目のミドル級王者誕生をリアルタイムで観戦できたなと思ったら、判定1-2で負けとは正直何が起こったのかと呆然とした。ダウン獲ったし効かせたパンチの数も明らかだったろう。今日日出してただけのガードの上からのパンチなんてとらないでしょ。

 こういうことを書いてしまうと良識を疑われるかと思うが正直「ちゃんとジャッジ買収しとけよ!」ぐらい思ってしまった。
 まあ、買収しとけはやったらいかんことなんだろうけど「買収対策」を陣営がキッチリやっとかなければいけなかったんじゃなかろうかってぐらい酷い判定。
 日本人は買収とかの不正はやらない国民性というかなんというかだけど、相手側は常にやってくるぐらいの意識をもって打てる手うっておかないといかんのではないかと思ったぐらい。

 まず日本人が敵地に乗り込んでいって微妙な判定で勝ったのを見たことがない。逆の日本で負けたっぽいのに勝ったのは極たまにある程度(まあボクシング好きなら誰のことか分かるよね)。
 腹が立つことに日本でやって、コレは客観的に見ても勝ったやろ、ダウン獲ったしというので負けたのは今回が初めてじゃなくて、過去にもあってテレビの前で悔しい思いをした記憶がある。誰の時だったか思い出せん記憶力の減退も悔しい。

 スポーツの世界も、ドーピングやらなにやら見ても分かるようにきれい事だけでは済まない世界で、今日の村田選手をチャンピオンにできないのなら、そういう部分が足りてなかったということぐらいしか思いつかないんだけどどうなんだろう。

 まあ、今度はベガスでもNYでも敵地に乗り込んでいってブッ飛ばして文句の付けようのないKO勝利でベルト獲ってきてくれ。チャンピオンベルト巻いたヤツより今夜明らかに強かったんだからきっと難しくてもできるだろう。そうなったら日本のボクシングファンみんな超スッキリする。

 きれい事じゃない手も使ってKOでという意味では、村田選手の前にやった比嘉選手はお見事だった。倒れた相手への追い打ち(当たり前ですが反則です)とか、13度タイトル防衛の元名チャンプ、指導者の具志堅氏を彷彿とさせる闘争心溢れる闘い方。我が家に具志堅用高世界戦15試合というDVDがあるけど、倒れる相手へのとどめ打ちはお約束。そのぐらいエグいことやらんと王座には君臨できんということか。カンムリワシ2世の戴冠おめでとう。

 でもまあ、今日は苦杯で苦汁を舐めさせられたような腹立たしい気持ちが強い。

 オオッ、今外で「特許許可局」って鳴いてる鳥がいる。ホトトギスやんけ!ウグイスいるのは知ってたけどホトトギスまでやってくるようになったか。
 今日の良いニュースはカンムリワシとホトトギスか。

2017年5月13日土曜日

ほの暗い水の底では

 あからさまに食ってきたようなスコッという感じのアタリが浮子にでて、よっしゃ来た!とばかりにアワセをくらわせると、あにはからんやハリがかりせず空振り、というのをヘラ釣りでは「カラツン」と呼んで、いかにカラツンをちゃんとかかる「食いアタリ」にするか、そのためにハリスの長さ調整やら餌の硬軟からありとあらゆる手を工夫しているのが今の管理釣り場や釣り堀におけるヘラ釣りの「技術」のかなりの重要部分であるように見受ける。

 ヘラ釣り初心者の私もカラツンには悩まされる。正直、ハリがかりしたときのアタリとの違いが全くもってわからない。ほんとにヘラブナが餌くわえてるのか?と疑問になってくるぐらいで、モツゴとかのジャミアタリなんじゃないのかとも疑ったりもするし、実際にモツゴの多い自転車で行く管理釣り場ではモツゴが釣れてくるけど、ヘラの多い「箱」の方ではアワセが決まるとヘラが釣れてくるのでジャミもたまにはあるかもだけど、どうも「箱」ではカラツンの正体はヘラブナで間違いないように思う。管理釣り場のほうでも「ジャミばっかやン」と思って油断している時に隣の釣り人がヘラ釣ったりして、ヘラのアタリも混ざっていたくさい。
 連発でことごとくカラツンになると、頭に来きてイーッとなると同時に水中に頭つっこんで実際に餌の周りでなにが起こっているのか見てきたくなる。スレがかりするのもあるから単にハリスに魚体が触れてるだけの「糸ズレ」とかだったっりしないのだろうかとか、疑い始めるときりがなくなる。

 昔、関西には「ヘラブナ喫茶」なるものがあって、喫茶室から釣り堀になっている大型水槽を横から眺められるというものだったと記憶している。「イレブンフィッシング」だったかで、その水槽で水中のヘラの動きと浮子の動きを同時に見せるというのをやっていた。ヘラなど興味がない少年時代に見たのを今でも記憶していたのは、当時、ヘラが餌を吸ったり吐いたりするのが浮子の小さな上下になって現れるので、吸ったときにあわせないとかからないとかまことしやかに語られていたのが、実際見てみると、ヘラがその場で餌を吸っても吐いても浮子には何の動きもなく、ヘラが餌をくわえて移動して初めて浮子にアタリが出たというのが意外で、水中のことを見てきたように語る釣り人の、いかにいいかげんであてにならないことかと印象深かったので憶えていたのだろう。

 最近でも、高級リールの軽い回転だと魚が食う前の寄ってきた水流変化による「前アタリ」を感じることができる、とか水中のことを見てきたように語る釣り人を、正直「またなんかしょうもないことを言ってるワ」ぐらいにみている。バスでもシーバスでもイワナでも追ってくるのが見える食ったのが見える状態で釣ったことがある人間から見れば、ルアーと同じスピードで追ってきて食った場合には、竿先にも手元にもラインテンションにも何の変化も現れない。見えてるからアワせるけど、見えてない状況で同じような食い方をされたら全くアワせることができない。
 竿先やらに変化がでるのは、食ったうえにハリがちょっとかかって、魚が首を振って初めて「アタる」とうすうす思っていたら、「ザ・シーバス」というシーバスの水中でのルアーに対する反応を納めたDVD付きの書籍が2006年に出て、そのことを裏付ける映像に大いに納得したものである。
 「前アタリ」があった時点で、賭けてもいいけどルアーは口に入っていると思う。口に入って魚が止まってラインがちょっと引っ張られて、高感度な高級リール様を通じて釣り人が「前アタリ」を感じると同時に魚も違和感を感じてペッと吐いているんだと思う。それでもしつこくルアーに食いついているうちにハリがどこかにかかって首振ったのが「本アタリ」として出る。というのが「前アタリ」の正体だと思っている。誰か水中撮影してみてほしい。

 ちなみにルアーが口に入っただけの、竿先とかにはアタリが出ないはずのアタリを出す裏技はあるようで、クランクベイトなりバイブレーションなりのブルブルとルアーの動きが明確なルアーを使って、ルアーの動きが消えた瞬間にアワセを食らわすというのを聞いたことがある。まあ、私は見釣りを除けば、感度の悪い道具立てで釣り人も魚もハリがかかるまで気づかないようにするという方針なので実践したことはないのだけどね。

 話をヘラ釣りに戻すと、カラツンの水中映像である。今時小型の水中カメラとかもそれなりの値段で入手可能で、一般の釣り人がそういったカメラを使ってヘラブナの補食シーンをとらえた映像もYOUTUBEとかに投稿されていて結構ある。でも、なんちゅうか撮影がへたくそなのか、釣りがへたくそで写すべきものが何なのか分かっていないのか、いまいちカラツンが生じる状況が見えてこない。
 良い映像ないもんかなと探っていると、ちょくちょくとDVDの予告映像がヒットしてきて、どうも私がほしいカラツンが起こっているときの餌付近の映像をヘラ釣りの上手い人の釣っている水面の浮き映像と同時に見せているDVDがあるらしい。「ヘラ管理池REALカラツン大解明」というタイトル。

 3980円と、浮子よりもお高く、安竿2本買える値段だけど、これは買っておくべきかなとアマゾンでポチッた。
 届いたのを早速視聴して、安い買い物だったことが判明。もろにカラツンが起こっている状況の水中。頭を池に突っ込んで見てきたかったその映像が納められていた。
 詳しい内容は買って見てあげてほしいが、高活性時のヘラが集まった状況下で、とにかく想像していた以上に餌がヘラの口に入りまくっている。その上で吐きまくっている。
 浮子にアタリが出ないその場でハリの付いた餌を吸って吐いてとか、溶けた餌やハリから落ちた餌は警戒せず吸っているのは、ある程度想像してた状況だったけど、釣ってる熟練のヘラ師の方が「糸ズレでしょう」「糸ズレかな」と言っているような浮子にモヤモヤとした動きが出たときにも、ものすごい高い確率で餌を口にしているのには驚いた。今時の浮子は吸った角度にもよるけどちょっと吸って吐いた程度でも結構動く。でも絶対それでアワせてもかからんだろうという感じの早いタイミングで吐き出している。そしてカラツンの時もハリスの抵抗を感じているのか何なのか速攻で吐いてるのもあったし、下から上向いて口を開けて食っててアワせても口から餌が抜けていたのとか、正直おそれいった。何十年ってヘラを釣ってきたであろう熟練の釣り人も水中の真実のあまりの予想外の様に衝撃を受けているようだった。

 人の反応速度は、普通に目で見て大脳で判断してという場合、自動車免許の講習で習うと思うけど1秒近くかかる。素人のアワセの早さはこのレベルだと思う。見ていて「遅いって!」ともどかしくなるのもむべなるかな。
 これが、反復して修練を積むと、大脳の判断を経由せず小脳経由で短絡した反射的な反応経路ができて、0コンマ1秒以下ぐらいまで早く反応することができるようになるとされている。そういう事実が知られるまでは、陸上のスタートで0.1秒より早くスタート切った人間は「理論的にあり得ない反応速度」とされてフライング扱いになっていたとか※。「アワセ早いな~」と感心するレベルの熟練の釣り師とかも、0.1秒切るぐらいの反応速度なら普通に出ているんじゃないかと思っている。
 それでも人間がそのぐらいの早さで反応できるなら、養殖されている種だとはいえ、半野生種ぐらいのヘラブナがそれ以上の早さで反応するのは想像に難くない。しかも、実際にはラインがたるんでいる分が真っ直ぐになったっりする時間なんかも経て浮子に動きが出るわけで、反応速度の早さを競う方向ではヘラブナに勝てる理屈がない。

 だからこそDVDの中でも、ハリスを長くしてくわえたときに感じる違和感を減らす方向で調整して、再度連発に持ち込んでいたように、ハリスから餌から、仕掛けからテンポからなにやらかんやらを調整して、ヘラが吐き出すまでの時間を稼いで、浮子が動いてアワセが決まるまで口に餌を入れておけということにつきるのだろう。
 0.1秒も稼げばアワセは決まり始めるんじゃないだろうか。たぶん、ハリスの数センチの違いとか、餌の食いやすい堅さの微調整とか、上手くいっても100分の1秒単位でしか時間を稼げないかもしれない。それでも、そういう微妙な違いを他の要素も加えて重ねていって、なるべく長い時間ヘラの口に餌をとどめて、なるべくたくさんのアタリを出していって、結果ハリがかりする「食いアタリ」を増やしていくという、ヘラ釣りの教科書に書いてある通りのことをやるのみだと再認識できた。

 水の中のことを見てきたように語るには、水の中を見てこなければいけないと肝に銘じておきたい。普段見えない水の中では結構驚くべきことが起こっている。
 今回みたDVDの映像のような現象が、すべての釣り場、すべての状況で起こっているとは限らず、いろんな状況はあり得るんだろうけど、一つの典型的な例として水中の状況を想像するには極めて有用な映像だったと思う。
 面白かったッス。新しい釣りを始めて知らないことだらけで、日々学ぶことがあって嬉しい。


※って書いたら、翌朝短距離の桐生選手が0.1秒切りのスタートで失格とのニュースがあり、いまだにそのルールが生きていることにあきれた。