2014年7月13日日曜日

蜩の鳴く頃に

我が家の近所には学校があって、敷地内にけっこう大きな林がある。
 割と街中なのだが、ヘビがいるという話も聞いたぐらいで、春にはホーホケキョとウグイスが鳴いていたりするのだが、昨日、暑い中テナガを堪能して帰ってきてシャワー浴びて夕方麦茶飲んでいたら、「カナカナカナカナ~」とヒグラシの声が聞こえてきた。

 ツクツクホウシやアブラゼミは毎年聞いているが、近所でヒグラシは初めてのような気がする。
 「日本人に郷愁という感情を植え付けたのは実はヒグラシなのではないか」と誰かが書いていたと記憶しているが、さもありなんと思うぐらいのもの悲しげな鳴き声で、夕方に鳴くこともあり楽しかった夏の一日が終わる切なさを感じずにはいられない。

 漢字1文字で書くと「蜩」だが、こういう難読漢字ってオタクなら知っているというものが結構ある。蜩くんという超能力バトルモノの登場人物がいて、彼の能力は「代謝加速」でもの凄いスピードで動くことができる設定。セミの短い命の暗喩かなと思う。
 サイボーグ009の「加速装置」と似たような超能力だが、もう少しリアルに寄せた設定で、加速中も通常の物理法則が適用されて、運動する物体のエネルギー量は速度の2乗に比例するので、加速中のパンチとかの破壊力はデカイけど、自分の体へのダメージも大きく諸刃の剣になるという描写になるほどなと思わされた。SF要素のある作品はそういう科学考証も味わい深い部分である。

 別の漢字だがジャンプ長寿連載漫画「こち亀」のオリンピックのある年だけ登場する両さんの同僚である「日暮」さんは今ウィキったら既に11回登場したとかで笑える。何回かはリアルタイムでジャンプで読んでいたが、2回目登場時には「そういえば4年前に、そんなネタあった、あった!」とウケた記憶がある。
 なにげに日暮さんも超能力者で犯罪予知かなんかの能力がある設定だけど、長い時間を寝て過ごせるというのは、「加速能力」の逆の「減速能力」という時間操作系の超能力者とも考えられる。

 釣りやっていると、瞬間的なアタリにアワセが遅れたときなど、誰でも「もっと早く反応できたらな」と思うぐらいで「加速能力」はあったら便利だと思う。
 しかしながら実は釣りには逆に「減速能力」があれば、非常に便利かもしれないなと思ったりもするのである。
 ようするに、潮が引くのをまって渡るポイントとかライズ待ちとかで、今か今かとイライラしながら待つ気の短い多くの釣り人なら、「自分の時間を減速させる=まわりの時間が早く進む」能力があれば、まわりの時間を録画したTV番組の宣伝を早送りですっ飛ばすのと同様のことができるということである。
 自分の都合で時間を早くしたり遅くしたりというのは、所詮、超能力モノの作品中だけの絵空事だと思うかも知れないが、実はまわりの時間がゆっくり流れて自分が早く動ける「加速能力」も、周りの時間がアッちゅう間に流れて自分があまり動かない「減速能力」も現実にある程度持ち得る能力だと私は思っている。

 そんなアホなと思うかも知れないが、加速能力の端的な例として、さきほども「素早いアワセ」を出したが、アタリがあってアワセるまでの反応速度は、初心者とベテランとでは桁が一つ違うぐらいに差がある。常々、アワセのタイミングについては「素人はとにかくなるべく早く、玄人はとにかく落ち着いてゆっくり」が大事だと思っている。昔、毛鉤に食いついたヤマメが吐き出すまでの時間は0.2秒という有名な実験結果があって、当時は人間が目で見て反応するまでには0.8秒(自動車教習所で習う)かかるので、実際にはラインの弛みとかの分も遅れるので1秒程度はかかる。よって、ヤマメの反射速度に人間が勝つことはできず、アワセが素早く決まっている達人はヤマメの行動を予測したり泳ぎ上がってくる姿を見つけてアワセていると解説されていた。

 当時はそういうモノかと納得しかかっていたが、早撃ちのガンマンがリボルバーの劇鉄を手で押し込むようにしてぶっ放して点灯した電球を0.1秒台とかで打ち抜いているのとかを知って、もっというなら自分が明らかにヤマメ釣りでもアワせが早すぎてすっぽ抜けを繰り返しているようにしか思えない状況が生じるにつれて、どうも納得できないと感じざるを得なかった。定説に反して人はヤマメが毛鉤を吐き出すより早く反応デキる、それは間違いないがまだ説明されていないだけと思っていたら、割と近年になってそのメカニズムがスポーツ科学的な研究で解明された。

 簡単に説明すると、反復練習などにより、大脳が認識してから反応するという通常の反応経路ではなく、小脳経由で反射的に反応するショートカットした回路が形成されることがあると明らかになり、今までの通説では説明できなかった反応速度もそれで充分説明できるとのこと。やっぱりそうだったんだと納得したしだいである。
 10年20年と早いアワセを修練してきた釣り人は、明らかに素人とは異なる時間の中でアワセをキメられる「加速能力」を手に入れているのである。
 アドレナリン出まくっていると、脳内の「思考や知覚が加速する」というのも良く耳にする話で、事故とか起こしたときに周りの景色がゆっくり動くように見えるというし、魚がドカンと出たシーンをあとから思い出すと食って右向いたか左向いたかまでスローモーションで見えていたなんて経験は、ベテランの釣り人なら結構あったりするンじゃなかろうか。

 「減速能力」の方は、釣り人はもっと簡単に手にできる。ようするにじれったい時間をつぶす能力だと考えればいいので、今からの釣りをイメージトレーニングしても良いし、鳥でも眺めてても良い。でも、じれったい時間を感覚的に早く過ぎるようにしたいのなら、まあ「楽しいときはあっという間に過ぎる」というぐらいで、楽しいことをすれば良いんだけど、釣り場に意識は置きながらも楽しくできることといえばある程度限られていて、釣り仲間と与太話しながら待つなんていうのが理想だが、最近の私は電子書籍キンドルに面白いマンガ詰め込んで釣り場の待ち時間に読んでいることが多く、キンドルが私の「減速装置」となっている。

 楽しくてアッというまに時が過ぎてしまうという点を考えれば、魚釣りそのものが最強の「減速装置」なのかもしれない。
 思い返すと少年の頃の夏休みもいつもアッという間に終わったものだ。

2 件のコメント:

  1. はれものも治り、すっかりインドアぐうたら生活が身についてしまったKAZUです。こんばんは。
    文頭の「ひぐらし」に反応してしまい、YouTubeで鳴き声聞いてみっかなぁと検索したら、ひぐらし1時間とか、ひぐらしとせせらぎ3時間とかありました。 
    そりゃもう、堪能できました。笑  

    インドアしてる間に、つれがうなぎ2匹とすっぽん1匹を捕まえて、後者の方にわずらってます。食べるべきか放すべきか? だれも料理ができません。。。。。。

    返信削除
  2. kazuさん おはようございます

    腫れ物治ったら「とうくろう」の出番でしょう。ぜひ釣ったってください。

    スッポンはクビ落とす勇気さえあれば、あとは簡単みたいですよ。これも是非食ったってください。

    返信削除