2014年10月19日日曜日

橋の下をたくさんの水が流れた

昨夜は、最初に橋の下パターンがはまる橋を見つけた運河に久しぶりに行った。工事が入っていて流れが変わっていたりしたが、魚はあいかわらず入っていて嬉しかった。

 最初、この運河の橋以外にパターンが成立するぐらいに釣れる橋が、あちこち探しているつもりだったが見つからなかった。10年以上あちこちの運河やら小河川やらで投げていたが、それらしい反応は得られないでいた。

 それが、2011年の秋シーズン終了間近になんとなくそれっぽい条件が見える釣果があり、2012年の6月に条件の検証をやりに行って、コレが条件だと確信する釣りができた。
 当時は、「ユーリカ!!」と叫びながら風呂から裸で通りに飛び出したというアルキメデスの喜びに例えたが、むしろ、永年疑問に思っていたツチハンミョウの一生の謎がとけたときのファーブルの喜びの方が近いのかもしれないと思う。

 ツチハンミョウって乾いた河原の道とかを低く飛んで逃げる様から「ミチオシエ」とか呼ばれる綺麗な甲虫であるハンミョウとはちょっと違う仲間の虫で、むしろハネカクシの太ったヤツという印象の虫である。ハネカクシの仲間は毒があって、アリガタハネカクシの類とか触ると腫れたりするらしいけど、ツチハンミョウもカンタリジンとかいう毒をもっていて、触ると水ぶくれできたりするらしい。色はクロっぽい色だけど金属光沢があって毒虫独特の美しさがあると思うが、ハネカクシとは違うのは、お腹がぼってりと大きいところである。

 このお腹の大きさが、実はこのツチハンミョウの謎に深く関わっているのである。ツチハンミョウはとても沢山の卵を産むそのためのボテ腹なのである。

 ファーブル先生は若い頃に、ツチハンミョウが数千にもおよぶような同じような昆虫と比べるとべらぼうに多い産卵数について疑問を持ち、一体どういった一生を送るのか調べようとした。
 しかし、土の中の卵からかえった幼虫が、歩いて草の花に登るところまでは突き止めたが、そこからが全くわからなかった。花と共に持ち帰っても、様々な餌を与えても成長することはなく、一定の時間が経つと幼虫は死んでしまった。

 その続きをファーブル先生が知ることになるのは、だいぶ後年、歳食ってからの話。ハナバチの仲間が土中に土で貯蔵庫を作って蜜や花粉を貯めて幼虫の餌とするということを突き止めている時に、どうもハナバチの巣のなかにハナバチの幼虫じゃない変な幼虫がいることに気がつく。そいつは一旦サナギ(偽蛹)になったかと思うと、また幼虫に戻ったりとフェイントかけたうえで、ツチハンミョウの蛹になり羽化した。

 ツチハンミョウは最初の幼虫は歩いて花まで登り、そこでとにかく来た虫につかまるのである。その虫が運良く巣を作っている最中のハナバチだと、ハナバチが子供のために用意した蜜と花粉とハナバチの卵を食って育つのだそうだ。何という複雑かつ運任せの方法だろうと驚くと共に、なかなか「当たり」はひかないので沢山卵を産まなければならないことにも合点がいくのである。

 自然はどこまで調べてもわからないことだらけである。ファーブル先生も頭のなかにはいつも解けていない謎がいくつも引っ掛かっている状態だったのだろうと想像する。

 私の頭の中にも、今現在アカエイの釣れる条件だとかはじめ、ほかにもさまざま引っ掛かっている謎がある。ファーブル先生をならって、いっぱい謎を頭に引っかけて気にし続けるというのが、わりと大事だと感じる。

 生きものの世界って、というかそれも含んで森羅万象は結構どこかでつながっていて関係があったりする。ファーブル先生がハナバチ調べてたらツチハンミョウにつながったように、私が昼間の橋の下パターン追っかけていたら派生して運河の灯りの下パターンにつながっていったように、いろんなモノが関連して明らかになったり、現象が生じたりと、面白いことになっていったりするのである。

 「知りたい」という欲求は人の根源的な欲求の一つだと思う。それは終わることはなく一つを知ればその次がまた知りたくなるもので、永い時間、死ぬまで楽しんでも終わりはないのだと思う。

 久しぶりに橋の下パターンに最初に出会った運河に行って、工事で流れも変わったし、橋の下をたくさんの水が流れたと、感慨深く思うと同時に、それでも橋の下に水が流れ続ける限り、魚がいて、釣りの楽しみが終わらない事にちょっとした喜びを感じたところである。

2 件のコメント:

  1. シーバス今期初物につづいて何本かあげられたようでお疲れ様です。
    当方、高知の鮎惨敗をもって、渓流・鮎は終了としました。今は素人キノコです。

    氷ノ山はウェーダーはいて1000m付近の小沢登って、ブナの立ち枯れ、倒木
    探したもののナメコはなし。採っている人は採ってたので情報いただいて次回に
    期待といったとこです。

    この少しずつ近づく感じがよかったりします。笑

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  2. kazuさん こんばんは

     キノコはまさに地道に足で稼ぐ感じですね。
     効率的にとか賢くとかに背を向けて、我々は少しずつ楽しく獲物に近づいていきましょう。

     秋はイイ季節ですね。若い頃は春の方が好きでしたが最近は秋が一番好きかも。
     青春ではなく白秋の季節に自分がいるという事となんか関係あるのでしょうかね?

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