2015年5月6日水曜日

箱の底に残っていたのは希望だと思う


 昨晩九州遠征から無事帰宅しました。
 ツーテンの虎ファンさんには、車の運転、宿、ポイントの案内から、現場で借りるリールオイルまで、すっかりお世話になりました。
 まあ、今さら遠慮するような仲でもないので、思いっ切り頼らせてもらいました。
 あらためてありがとうございました。

 事前情報では、結構コンクリート護岸が増えて、ライギョも叩かれてスレてきたとか聞いていたりしましたが、まあ、そういう部分もなきにしもあらずでしたが、それでもまだ、ライギョは沢山いて、ルアーにバフッと食いついてきて、あいかわらず早合わせですっぽ抜けたりしまくってましたが、それもまたライギョ釣りという感じで楽しめました。タナゴ、フナあたりの小物釣りも堪能。

 九州は田んぼで麦と米の二毛作が多く、GWごろは麦がちょうど穂を付ける「麦秋」と呼ばれる季節で、ヒバリが高い建物も無くぐるっと広い空で高くさえずっている、その圧倒的な開放感だけでも至福と言って良いぐらいです。

 ライギョ釣りでは田んぼの脇の水路(クリーク)を狙ったりするのですが、水路は放置しておくと水生植物の腐食物や流入した土などで長期的には浅くなっていきます。浅くなると田んぼに水を張り雨水などを流すための水路としては機能しなくなってくるので、農家などがたまに、水を抜いて底をさらってという作業を何年かあるいは何十年かに一度という感じで行っていて、昔は村人総出でやっつけて、ついでに水を抜いた水路から出てきたフナだのコイだのはみんなで食って楽しんだらしいです。
 最近では、ユンボで泥をさらうのですが、さらった後の護岸をついでに長持ちするコンクリで固めてしまうというのが、私が憎悪するコンクリ好きの人達の効率的で悪しき流儀です。
 でも、今回の旅で何カ所かで、昔ながらに木の杭と木の矢板で新に護岸を作った場所が確認できました。

 長期的な管理とか考えると、コンクリの護岸のほうが経費も手間もがかからないはずです。それでも「木で」と考えたのは、景観の部分もあると思いますが、自然環境や生物多様性といったことにきっと気をつかったのだと思うのです。木なら隙間も多いし、そもそも有機物なので食べたり住んだりする生きものも沢山います。コケも生えればそのうち草さえ生え始めます。
 私のような都会に住んでいる人間が、やれコンクリの護岸はやめろだの、自然を守れだのというのは、自分でやらなくて良いから言えるという面もあり、正直無責任な意見という側面もあると思います。それでも言わなきゃらならんと思ってはいますが、実際に住んで管理する人達が、めんどくさい手間を考えてもそうすべきだと考えて、あえて選んだことを英断と敬服せずにいられません。

 九州では、炭鉱やらの製鉄関係の歴史的な建造物などが世界遺産になりそうだとかいうニュースで盛り上がってましたが、私は九州の、今まさに使われて受け継がれていっている、現在進行形で生物多様性や景観や安らぎを、そして釣り人に釣果をもたらしている、ドロドロの草ボーボーの水路の方が後世に残すべき宝だと強く感じます。

 九州の自然は、いまだ健在でした。もちろん問題も不安もいっぱいあるのは間違いありませんが、それでもまだ未来に希望がもてるぐらい魚はいましたし、田んぼという人の営みとともにある自然が受け継がれていっている。どうも地元の人もそれに愛着をもっているらしい、ということが見て取れて、嬉しく思いました。

 嬉しい話がもう一つあって、帰りの空港で香港のSUZUKIさんから、香港でタナゴゲットとの報告のメールをいただきました。
 香港オイカワから始まった一連の香港の小物釣りのラスボス的獲物として、香港に残っているかどうかも疑わしいタイリクバラタナゴを求めてというクエストがあったのですが、見事攻略成功したとのこと。苦労して情報集めて、足使って、そして結果が伴った喜びというのがメールの文章からもうかがえて、楽しそうな釣りのシーンが目に浮かぶようでした。
 香港のような高度に開発が進んだ場所でも、まだ、二枚貝とハゼの仲間がいないと繁殖できない生物多様性の象徴のような魚であるタナゴも残っているというのは、これまた、まだ全てが失われたわけではない、危うい状況にはあるけどまだ、希望は残っていると感じられるものでした。
 SUZUKIさん近く日本に帰国されるとのことですが、同じ神奈川県民になられるようで、また一緒に釣りに行ける日を楽しみにしております。一緒に苦戦したり好釣したりしましょう。


 パンドラの箱の解釈やらには諸説あるようですが、私は災厄やら禍やらが世の中にはあふれてしまっているけど、希望は最後まで残っていて、希望があれば人はそれを胸に生きていけるということかなと都合良く解釈することにしています。

 世の中には絶望するような悲劇や、怒りが収まらないような悪行や、心底嫌になるくだらないことが満ちあふれていますが、それでも希望もあるのかなと感じたところです。

2 件のコメント:

  1. 遠征お疲れ様でした。
    次回は爆釣できるよう釣り場の球を増やしておきます。
    それにしても佐賀の自然は豊かでした。
    またのお越しをお待ちしております。

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  2. 虎ファンさん おはようございます

     お世話になりました。
     帰ってきて顛末記書いていて、まあライギョ釣りでこのくらい釣れたら良い釣果だなという気がしてきました。なかなかかかんないしバラすしというのはお約束ではあります。妄想では70、80爆釣ですが現実的にはバラしまくりながら何匹か釣るのを、難しさも含めて楽しむ釣りだと思います。

     良い釣りでした。またご一緒しましょう。

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