2016年12月30日金曜日

2016年のベスト3(エンタメ篇)


 病気で寝てばっかりだった気がして何もしていないうちに今年が終わりそうになっているように感じるが、寝てばっかりいたおかげか小説やらマンガやらは結構な量読んでいるし、深夜アニメも冬春夏秋としっかり4期分視聴しており、やっぱり一年が経つのだなと感慨深い。まあそんなところで、今年の1年を振り返りつついつものようにベスト3を紹介してみたい。

○本:1位「ザ・ロード」、2位「沖縄文化論」、3位「ナマコのからいばりシリーズ」
 1位のコーマック・マッカーシー「ザ・ロード」はおそらくここ10年で最高の読書体験だったと思う。基本SFで最終戦争後の荒廃した世界を父子がさすらう話なのだが、難しいSF設定とかややこしい物理法則とかでてこないので、すべての人に読んでもらいたい傑作。角幡唯介、椎名誠両先生も絶賛しているが、私も強く推す。父性とは人間性とはという割と深いところにズンッとくる読み応え。
 2位、岡本太郎「沖縄文化論 忘れられた日本」は久しぶりに読んだ岡本太郎先生の本で、相変わらずキレッキレの視点や論点にうならされた。今の沖縄とも当然違う、占領下から復帰したての過渡期の沖縄の実態と、その頃まだ残されていた「沖縄らしさ」にみる日本の原点。
 3位、椎名誠「ナマコのからいばりシリーズ」。健康面問題抱えていた今年の、今一集中できないボケ頭でも、軽やかにサクサクと楽しめる椎名先生のエッセイシリーズの存在は福音であった。読んで頭を抱えて「人間とは?」とか思い悩んでしまうような大作ももちろん良いものだが、楽しくサクッと読んでそのまま忘れてしまってかまわないような作品もこれまた良いモノなのである。

○マンガ:1位「女子攻兵」、2位「バーナード嬢曰く。」、3位「ヴィンランドサガ」
 1位「女子攻兵」は、見た目が女子高生のロボットに乗り込んで、異次元の入植地で戦うという、絵面的に馬鹿っぽく、ふざけているような作品だが、これがなかなかに鋭いハードSFな物語で、主人公は自分の自我とロボットの自我のどちらが本物なのかとか、人間には及びもつかないレベルで事象を演算し予測し管理するAIが正しいのかそうでないのかとか、自己同一性の崩壊の危機を迎えつつも獲物を目指して闘いを続けていく。長く楽しみに読んでいたが完結した。読む人を選ぶかも知れないが傑作です。
 2位は、読書通ぶりたがる自称「バーナード嬢」こと町田さわこを中心に、4人が図書館に集まって読書会のように書評を話し合ったり、ド嬢の暴走に突っ込んだりという、基本「本読みあるある」ネタを楽しむマンガなのだが、回を重ね4人の親密さが進展するにつれ、そのやりとりに、心の中の若き日の記憶が揺り戻されるような「青春感」が醸し出されてきて、読んでて切ないような鼻につんとくるような感覚を何度も味わった。実に良いマンガ。今年アニメ化もしたが上手にそのへん再現されててこれまた楽しめた。
 3位「ヴィンランドサガ」は、今一番続きを楽しみに待って読んでいるマンガ。世に争いの種は消えず、21世紀になっても殺し殺されの復讐の連鎖はとどまることを知らないが、作中11世紀の元ヴァイキングの主人公は、復讐の鎖から逃れるために今絶賛苦闘中。戦争とは平和とは幸せとはとかど真ん中直球のテーマを描きつつも、戦闘シーンやら日常シーンのマンガ的表現のうまさでぐいぐい読ませる力量。面白いマンガとはこういものだという見本のようなマンガ。

○アニメ:1位「響けユーフォニアム2」、2位「この素晴らしい世界に祝福を!」、3位「JOJOの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない」
 1位、「2」ってだいたいテンション落ちるモノだが、まったく衰えるどころか面白さは増すばかりだった。文句なしの今年1番。吹奏楽部を舞台とした熱血部活モノなのだが、京都アニメーションの学園モノはどうしてこうも、オッサンの胸に「青春感」を喚起させるのか?たぶん色々あるんだろうけどとにかく真面目に真剣に丁寧にアニメを作っているのが一つの要因だろうなと思う。例を出すなら、登場人物が複雑な心境にあるとき、それを台詞で言わせるのではなく、表情やらで表現してそれが視聴者に伝わるだけのアニメ表現の上手さなんてのがあるように思う。
 今年世間では「君の名は。」「この世界の片隅に」「聲のかたち」あたりの劇場公開アニメが評判だったが(はよ地上波でやってくれ!)、テレビで深夜にやってるアニメも密かに面白いのである。
 2位の「この素晴らしい世界に祝福を!」は、一転して途中予算か時間がたりんかったような作画のショボい回もあった作品だが、それでも面白いモノは面白い。異世界モノなんだけど、ギャグの良い塩梅の楽しさと、女の子のキャラクターの可愛らしさが良かった。深夜アニメにはこういうアハハと笑って次の瞬間忘れてしまえるような楽しい作品もまた必要である。久しぶりに原作ラノベを買いあさってしまった。
 3位の「JOJO4部ダイヤモンドは砕けない」は、JOJOシリーズでも最も好きな4部のアニメ化とあって期待して視聴させてもらったが期待通りの良いアニメ化。お気に入りのネズミ狩りエピソードも仗助がクールに決めてくれたゼ。億安と仗助、露伴先生と康一君とかの友情関係が4部が面白い重要な要素の一つだなと再認識した。

 とまあ、今年も様々な創作物のおかげで、病床の無聊がずいぶん慰められた。
 これらがなければ退屈で死んでいてもおかしくないところである。深く感謝。

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