2017年10月8日日曜日

足の延長線上にある道具

  自転車っていうのは、人類が生み出したものの中でも最も優れた素敵道具の一つではないかと思う。
 徒歩に比べると格段に長距離移動が楽。そんなに走行性能に長けていない折り畳み式の我がチャリでも5キロやそこらの往復なら鼻歌交じりの距離である。っていうかむしろ自転車で行くと鼻歌がでるぐらいに気分がよい。
 荷物を積めるとか100キロ単位の距離を行くとなったら車の方が便利だけど、車は駐車スペースとか維持管理とかめんどくせぇ上に、簡単に人をひき殺せる馬力が私には制御不能な感じが強くて根本的なところに恐ろしさを感じてしまう。
 自転車でも全力走行でぶつかったりしたら死亡事故もあり得るんだろうけど、通常走ってる分にはそういう制御不能な感じはなく、車の運転のように緊張せずにゆったりと自分の力を動力に走ることを楽しめている。風を体に感じながらというのも、バイクもそうだといえばそうだけど評価が高いところだ。
 工業製品なのでぶっちゃけそれほどエコではないのかもしれないけど、それでも油炊いて走る車に比べれば多少ましだろうし、経済的な乗り物だとも思う。

 釣りにおける自転車の有用性ってあんまり語られることはなくて、自転車で釣りに行くと楽しいということ以上に、自転車は釣りに有用な道具であるということは意識しておいても損はないように思う。
 わざわざ折り畳み式の自転車を買って、車に乗せて釣り場に持っていったりもするのはそれなりに理由があってのことである。

 徒歩にはない機動力が魅力だけど、それ以上に駐車スペースが必要ないのが大きな利点になる。車でポイント探していて良さげな水辺が見えていても駐車スペースがなくて結局入れずあきらめるなんてことはありがちで、特に新場所開拓の際には、いったん車を駐車スペースに入れてしまってから自転車で良さそうなポイントを虱潰しに当たっていくなんていうのは実に有効。
 内房の運河はこのスタイルでかなりくまなくチェックしてポイント開拓がずいぶんはかどった。
 歩いてもいいんだけど自転車の機動力にはかなわないし、バイクでも駐車スペースはどこでもいけるけど、いちいちヘルメットとかをはずすのも手間だし、ロッドを片手に運転なんてことはできない。ロッド片手に場合によっちゃサドルにまたがったまま2、3投してすぐ移動とかのせっかちな釣りには実に威力を発揮するのである。
 都会だと駐車スペースが近くにないポイントとか、明らかに「竿抜け」になっているような穴場もあって、テナガのノッコミポイントとか自転車の地元民ぐらいしかやってこないので都会の釣り場にはあるまじき広々とした空間で釣りを楽しめている。

 そういう近所の足にも遠征先の開拓の友にも活躍してきた折り畳み自転車2代目も、先代が盗まれてから4年ほど。結構な距離を走ったはずで、先日ツンツルテンになっていたタイヤから繊維が見えはじめて限界だったので交換した。径の小さいタイヤなので普通の自転車のタイヤより消耗激しいのかもしれないけど、良く走ったものだと感慨深い。
 これからもよろしく相棒、という感じである。
 今のところ一度も成果を上げてないんだけど、終了時に帰りながら自転車で川の護岸の柵越しにルアーを引っ張ってくるテクトロならぬチャリトロでシーバス釣ってみたいと密かに挑戦している。

 最近近所ポイントでハゼ追っかけてて気がついたんだけど、釣り場で盗まれた自転車って、売り飛ばされたり使われたりするんじゃなくて、どうもその場で川に放り込まれていることもあるように思う。なんのためにそんなことをする必要があるのか全く理解に苦しむけど、干潮時にあまりにも多くの自転車が川底に沈んでいるのを見るとそんな気がしてくる。盗んで目的地近くまで乗って、証拠隠滅に川に捨てているということも考えられるけど、鍵かけていたのにあっさり盗まれていることとかを考えると、単にその場で戯れに捨てているという可能性に行きあたる。 
 そうであれば自転車を暗い釣り場で盗まれないようにするのに、柵とか電灯の支柱にチェーンキーで繋いでおくのは有効かもしれない。河原に自転車止める人は実行してみてほしい。


 足周りの道具で今年活躍したのは自転車のほかにこの靴。
 アディダスのボートシューズで、遠征の時に船の上で履くために買ったんだけど、以前履いていた水遊び用の靴がボロくなって捨てたのでスライド登板で使ってみたら、実に良い案配。
 なにが良いって、靴の底に水が抜ける穴があいているのが良い。足の裏に水がたまらず水からあがって割とすぐにグチャグチャという感じから解放される。
 即乾性のズボンとあわせて、自宅から履いていてそのまま釣り場で川にジャブジャブ入っていって、帰りもそのまま履いてスーパーで買い物したりしても靴から水がビタビタ滴ったりせずに気にせずいける。
 昔フェルトソールのウェーディングシューズのままビタビタとコンビニで買い物していたら、バイトの姉ちゃんにモップ持って後ろに付かれたことがあり、ゴルゴ13じゃないけどいやな気がしたし申し訳なかったので気にはしていたのである。
 ご近所に釣りに行くのごときに換えの靴持って行くのは面倒なので大変重宝している。そろそろジャブジャブは冷たくなってきたので洗って干してまた来年もよろしくかな。

 釣り具って腕の延長線上にある竿やらリールやら仕掛けやらについては多く語られがちだけど、それ以上に足の延長線上にある移動手段含めた足周りの道具やら、皮膚の延長線上の合羽やら防寒着、日焼け防止策、虫よけなんかも重要で、良い道具とそうじゃない場合とでは釣りの快適さや面白さに雲泥の差がでてきたりするので、皆さんゆめゆめおろそかにしないようにしましょう。
 高価でかっこいい見た目の道具が必ずしも良いってわけじゃなくて、実際に使ってみて維持の手間や経費も含めた総合で評価しないと実戦じゃ役に立たないのは腕の延長線上といっしょ。
 「戦場にゃ一番手になじんだものを持ってきたいんでね」っていうガッツの台詞には私も深くうなずくところである。まあワシら釣り人がいくのは戦場じゃなくてせいぜい船上ぐらいだろうけどね。

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